工場や倉庫の暑熱対策で重要なポイントになるのは、建物の「屋根」です。
炎天下の屋根は50℃を超えることもあるため、ダイレクトに室温に影響します。快適な作業環境を用意するためにも、根本的な暑さの原因である屋根の対策を徹底しましょう。
この記事では、室温の上昇を防ぐために効果的な、屋根を中心とした暑さ対策を8つご紹介します。
「真夏の燃えるような暑さをどうにかしたい」「従業員の熱中症が心配」という方は、参考にしてみてください。
1.工場・倉庫内の暑さの主な原因は「屋根」にある
上述したとおり、工場や倉庫などの暑熱対策のポイントは、建物の「屋根」になんらかの対策をすることです。
なぜなら、工場・倉庫の室温が上昇する主な原因は、太陽に照らされた屋根と建物内部の機械から発生する熱にあるからです。
特に真夏の暑さは、太陽から発生する放射(輻射)熱が屋根の温度を上げることで起こります。真夏の激しい太陽光にさらされた工場の屋根は表面温度が50度を超えることもあり、工場内でいくら冷房を入れても涼しくなりません。そのため、根本的な暑さを防ぐためにはまず屋根の暑熱対策を徹底して、屋根の表面温度を下げることが重要なのです。
2.工場・倉庫の屋根の暑熱対策は5つ
工場や倉庫の屋根にできる暑熱対策は、大きく分けて以下の5つです。
- 断熱・遮熱効果のある塗料で屋根を塗装する
- 断熱材・遮熱材を屋根に取り付ける
- スプリンクラーで屋根に散水する
- 屋根を二重にする
- 屋根上を緑化する
いずれかの方法で屋根の表面温度を下げれば、室温の上昇を防げます。それぞれの方法について、詳しく解説しましょう。
2-1.断熱・遮熱効果のある塗料で屋根を塗装す
いわゆる「断熱塗料」「遮熱塗料」で屋根を塗装する方法です。
どちらも太陽光から発せられる熱の吸収を防ぐ効果がありますが、断熱塗料には室内と室外の熱の移動を絶つ効果もあります。室内と室外の温度を快適に保てるため、夏だけではなく冬の室温調整にも役立つのが断熱塗料です。また、断熱・遮熱どちらの機能も併せ持っている塗料もあります。
断熱塗料・遮熱塗料の塗装は業者に依頼するか、DIY塗装する方法があります。工場の閑散期に従業員でDIY塗装を行った事例もあるため、安全のために足場を組んで道具を用意することが出来れば、DIY塗装することは十分可能でしょう。
断熱塗料・遮熱塗料を選ぶ際は、メーカーや製品によって機能が異なる点に留意しましょう。塗料の中には防音機能があるもの、結露を防ぐ機能に優れたもの、不燃性能に優れたものもあります。塗料の性質から副次的なアレルギー効果を期待できるものもあり、製品に期待できる効果は色々です。
塗料を選ぶ際は、断熱性能や遮熱性能以外にどのような効果が期待できるのか、機能面を細かく確認することが大切です。
2-2.断熱材・遮熱材を屋根に取り付ける
「断熱材」や「遮熱材」と呼ばれる建材を屋根に取り付ける方法です。
どちらも太陽光から発せられる熱の吸収を防いだり、伝導率を悪くしたりして、屋根の表面温度を下げる効果が期待できます。
いわゆるプチプチ(緩衝材)のようなもの、アルミ製でシートのようなものなど、断熱材・遮熱材の素材はさまざま。工場の屋根の表面に取り付ける方法もあれば、表面・裏面両方に取り付ける方法もあり、素材によって取り付け方や取り付け場所が変わってくる点にも留意が必要です。
断熱材や遮熱材は屋根の表面温度を下げるだけではなく、防音効果や防虫効果、調湿機能に優れているものもあります。塗料と同様、メーカーや製品によって機能が異なるため、よく確認したうえで目的に適したものを選ぶといいでしょう。
2-3.スプリンクラーで屋根に散水する
打ち水のようにスプリンクラー(散水機)で屋根に水を巻き、屋根を冷やす方法です。
屋根にまいた水が蒸発する際、屋根の表面から熱を奪うことで屋根の表面温度を下げる効果が期待できます。工場や倉庫専用のスプリンクラーが販売されているため、そうした製品を屋根に設置して暑さが気になる夏限定で利用するのがいいでしょう。
ただし、スプリンクラーは水道代がかかること、定期的な散水で屋根が錆びてしまう可能性もある点に留意が必要です。また、塗料や建材を屋根に塗布・取り付ける場合は「暑さを防ぐ以外の効果」も期待できますが、散水の効果はあくまで屋根の表面温度を下げることに限定されています。
「真冬の気温調整も行いたい」「工場の空調代を節約したい」といった希望がある場合には、1の塗料や2の建材を利用する方法が適しているでしょう。
2-4.屋根を二重にする
既存の屋根に新たな鋼板屋根を重ね、断熱材を層間に挟む方法です。
屋根を重ねることで耐久性・耐候性も向上し、省エネ対策にもなります。また層間に挟んだ断熱材の空気層により、高い断熱効果が期待できると言われています。ただし、他の方法に比べると施工費用が高くつくこと、工期が長くなる可能性がある点には留意が必要です。
屋根や断熱材の厚みによって効果が変わってくるため、費用と工期をよく確認したうえで検討しましょう。
2-5.屋根上を緑化する
屋根上や屋上に植物を植えたり人工土壌・人工芝生を敷き詰めたりして、緑を増やす方法です。
屋根上の緑化は断熱性能が向上するだけではなく、省エネ対策、ヒートアイランド現象への対策や景観の向上にも繋がります。外観から大きく変わるため、工場のイメージアップ効果も期待できるでしょう。
ただし、緑化対策は施工費用が高くつきやすく、工期も長くなりがちです。また虫が増加したり、雨天時に土壌が流出してドレンが詰まったりといったトラブルも考えられます。緑化対策による暑熱対策は植物のメンテナンスが重要になるため、導入の際は長期的に維持管理できる体制を作ることが大切です。
3.屋根とあわせて行いたい暑熱対策は5つ
工場や倉庫の暑熱対策として、屋根とあわせて行いたい対策は以下の5つです。
- 外壁への暑熱対策
- 空調管理の見直し
- 熱源の機械上部の給排気設備を見直し
- 作業服の見直し
- 熱中症対策の水分・塩分補給を徹底
それぞれ、詳しく解説していきましょう。
3-1.外壁への暑熱対策
屋根の次に高い効果を期待できるのが、外壁への暑熱対策です。
「2.工場・倉庫の屋根の暑熱対策は3つ」でご紹介した対策を外壁にも行えば、さらに高い効果を期待できるでしょう。
屋根に断熱塗料を塗るついでに外壁にも塗装したり、屋根は遮熱材・断熱材を取り付けて外壁は断熱塗料を塗ったり。工場や倉庫によってやりやすい方法は変わってくるため、メーカーに相談しながら適した方法を選んで組み合わせるといいでしょう。
3-2.空調管理の見直し
建物内部の空調管理を見直し、冷暖房効率を上げて室温を適切に保つ方法です。
工場によっては熱を発する機械が多く設置されていて、屋根の表面温度を下げるだけでは室温が下がりきらない、という場合も考えられます。以下の方法で内部の空調管理が適切か見直しましょう。
・スポット空調を設置する
部分的に温度を下げることができるため、熱がこもりやすい機械の近くや従業員が特に作業をする場所などに設置しましょう
・自動空調・置換換気システムを導入する
室内の隅々まで空気を行きわたらせて喚起を行うことで、冷暖房効率を上げることができます
・大型の工場用・倉庫用エアコンを最新のものに変える
使用しているエアコンを最新のものに変えれば、省エネ性能・冷暖房性能を上げることができます
3-3.熱源の機械上部の給排気設備を見直し
工場内の室温を上げる要因である、機械上部の吸排気設備を見直す方法です。
熱や湯気などが発生する箇所は、特に熱がこもりやすいです。熱源となる箇所の吸排気設備は適切か確認し、必要であれば吸排気フードを最新のものに交換するなどしましょう。工場内の暑さが局所的なものであれば、吸排気フードを交換するだけでも効果は期待できます。
3-4.作業服の見直し
工場や倉庫で従業員が着用する作業服を見直し、快適な作業環境を用意することも大切です。
作業服には、風通しの良い空調服や保冷材付きの服、汗を吸うインナーなどがあります。
従業員の持ち場によっても体感温度は変わってくるため、特に熱源となる機械の近くで作業する従業員には、暑さを軽減できる作業服を用意しましょう。
3-5.熱中症対策の水分・塩分補給を徹底
熱中症対策として、工場・倉庫で働く従業員全員の水分補給・塩分補給を徹底しましょう。
労働基準法で定められた休憩時間はあくまで最低ライン。真夏の工場内ではより細かい休憩管理を行い、熱中症で倒れる従業員が出ないように努めることが大切です。
真夏時の作業では20分おきに休憩を取り、水分と塩分を強制的に補給させるようにするという方法もあります。
4.まとめ
真夏に工場や倉庫内が暑くなるのは、激しい太陽光にさらされた屋根の温度上昇が原因です。
屋根の温度上昇を防ぐためには、断熱・遮熱効果のある塗料・建材を屋根に塗布・取り付ける方法がおすすめです。塗料や建材はただ屋根の温度を下げるためではなく、冬の室温調整ができたり、防音機能があったりと、さまざまな副次的効果が期待できるからです。
せっかく暑さ対策をするのであれば、工場内の環境を快適にしたいもの。弊社が販売する断熱塗料『WAKOECO® SHIELD(ワコーエコシールド)』であれば、真夏・真冬ともに冷暖房費を大幅に削減できます。この機会に、暑さとあわせてコストカットできる断熱塗料もご検討ください。